一目均衡表の見方と使い方!遅行スパンと先行させない雲でトレンド分析
どうも、佐々川です。
今回のテーマはローソク足と同様に、日本発の相場分析手法である一目均衡表。
昭和初期に一目山人(いちもくさんじん)氏が
膨大な時間をかけて体系的にまとめた万能のスーパーツール。
※一目山人というのは、ペンネームで、本名は細田 悟一さん。
相場は均衡の崩れた時に動く
というのが根本にあり、
ひとめで均衡がわかる表(チャート)という意味で一目均衡表という名前になったそうです。
その実力を100%使いこなせれば、
売買の価格、タイミング、損切りポイント
も詳細に教えてくれますが、この記事では
一目均衡表でトレンドをつかむ
という点に着目した使い方をご紹介します。
もくじ
『価格』ではなく、『時間』が重要
一目均衡表は、
価格の形成パターンを分析する”波動論”、
ボラティリティ(値幅)を分析する”水準論”、
時間的な傾向を分析する”時間論”
の3つを骨格としていますが、
中でも”時間論”をとても重要視しています。
チャートを見る時、僕もそうですが真っ先に価格を気にします。
前回の安値、高値などまさしくですよね。
世の中に出回っている投資手法の
殆どは価格重視で、
「いくらになったら買い(売り)」
ですが、一目均衡表はそれらとは一線を画し
「”いつ”になったら買い(売り)」
で、チャートの縦軸(価格)ではなく、横軸(時間)が大事という考え方のようです。
この時間を大事にしている辺りが
一目均衡表の最大の特徴で、だからこそ使いこなすのは非常に難しいのだと思います。
全てを理解しカンペキに使いこなせている人なんて世界中に何人いるんでしょうか。
原著だって、2万~3万するような書籍の7部作ですよ!
僕も真の実力の10%も使い切れていないと思います。
しかし、それでも十二分な恩恵を与えてくれる懐の深いスーパーツールなのです。
5本線の計算方法
一目均衡表は5本の線で構成されています。
それらの計算方法をサクッと見ておいて下さい。
覚える必要はありませんが、
「こういうものだったのか~」
程度には一度理解しておいた方がいいと思います。
・転換線
=(過去9本の最高値+過去9本の最安値)÷2
・基準線
=(過去26本の最高値+過去26本の最安値)÷2
・先行スパン1=(転換線+基準線)÷2
・先行スパン2=(過去52本の最高値+過去52本の最安値)÷2
但し、先行スパン1と先行スパン2は、26本先(未来)に描画
・遅行スパン=終値を26本前(過去)に記述
※○○本というのはローソク足の本数で、これらの計算は全て直近(未確定)のローソク足も含みます
※転換線、基準線、先行スパン2は、過去一定期間の値動きの中心で、半値線、中心線とも呼ばれています
先行スパンを26本未来にずらしたり、
遅行スパンを26本過去にずらすのが非常に特徴的で、
この辺りからも、”時間論”を重要視しているというのが伝わってきます。
基本的な見方・使い方
転換線と基準線は相場の均衡を見る
転換線(9本の中心地)を短期、
基準線(26本の中心地)を長期とみて、
移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスのような使い方で、相場の均衡の転換を捉えます。
・上昇サイン=ゴールデンクロス
かつ、基準線が上向に転じる
・下降サイン=デッドクロス
かつ、基準線が下向に転じる
また基準線だけをみて、
・レートが基準線より上にあれば上昇傾向、
・レートが基準線より下にあれば下降傾向と判断する使い方もあります。
先行スパンで囲まれた雲に着目
先行スパンで囲まれた部分を雲(抵抗帯)といい、実に様々な事を教えてくれます。
・上昇相場では下値支持(サポート)、
下降相場では上値抵抗(レジスタンス)となりやすく、雲の厚みはそれらの強弱を表します
・レートが雲の中で推移する場合は、不安定な動きになりやすい
・雲の方向はトレンドを示す
・先行スパン1と2が交差することを雲の”ねじれ”と言い、トレンドの転換を示します
山人さんのオススメは遅行スパン
基準線や雲だけでも実に様々な情報を
提供してくれますが、山人さんが最も大事にしていたのが実は遅行スパンです。
現在でもマーフィーさん、ボリ平さんといった
有名なトレーダーも遅行スパンを自身のトレード手法に取り入れています。
・上昇サイン=遅行スパンがレートを上抜く
・下降サイン=遅行スパンがレートを下抜く
お勧めのパラメーターは?
一目均衡表を適用するには、3つのパラメーターを設定する必要があります。
「最適なパラメーターは何ですか?」
なんて聞かれたりしますが、
デフォルトの(9,26,52)のまま使った方がいいです。
↓先行スパンBは先行スパン2のことです
他のインジケーターは設定期間を
自分なりに調整したりしますが、一目均衡表だけはしない。
(というより、むしろ出来ない)
山人さんは膨大なデータを分析し、
自然の摂理を体現した数字として9,17,26を単純基本数値と定めました。
9+17+26は52となり、これらから
一目均衡表のパラメータを(9,26,52)と定めたのだと思います。
一目均衡表のについて、山人さんと同等以上に
熟知していると自負しているなら変更出来るかもしれませんが、そんな人は殆どいないはず。
それに、世界中の多くの人が
(9,26,52)を使っているので、多勢に合わせた方が絶対にいい。
※遅行スパンのみを単独で使う際は、26本前でなく、21本前、20本前などと調整するのは有りかもしれません。
オススメの活用法!迷っているなら試してみて
あらゆる投資手法の中で、一目均衡表は
最も奥が深く99%の人は表面的な部分しか知りません。
5年前、一目均衡表のみを徹底的に
勉強するセミナーに参加した時の衝撃は忘れる事が出来ません。
「ここまで深く考えを巡らせていたのか!!」
レベルが、次元が違いました。
達人レベルになると、ある瞬間のレートと
一目均衡表の5本線の値だけから、一定期間の値動きの概要を言い当てる事が出来ます。
では、僕らも達人レベルにならないと相場で戦えないかというと、そんな事はありません。
100%使いこなさなくても、懐の深い
一目均衡表は相場で戦う僕らに十二分に貴重な情報を与えてくれるのです。
その場合、ちょっと使い方を工夫すると非常に分かりやすくなります。
ポイントは2つ
・基準線、転換線は表示させない
・先行スパンを先行させない
お気づきの方もいるかも知れませんが、
この方法はマーフィー(柾木利彦)さんのSpan Modelという手法が元ネタ。
もちろん、本家の一目均衡表よりも得られる情報は減ります。
基準線と転換線を表示させないので相場の均衡点もわかりませんし、
先行スパンを先行させない事は一目均衡表が重要視している時間論の一部も放棄しているのです。
ただどうしても一目均衡表は難し過ぎて、全てを理解しようとしてもなかなか難しい、というのも事実です。
勉強に膨大な時間が必要だったり、
はまってしまった場合はアカデミックな領域、マニアックな領域に足を踏み入る人も中にはいます。
しかし、僕らは
学者になるではなく、相場で利益を上げる事が最大の目標。
であるなら、情報を絞って分かりやすくし、そして有力な情報はちゃっかりもらう
というのが僕の考え方です。
使い方としては、先行させない先行スパンの上下と、遅行スパンとレートの位置関係だけで、トレンドを把握するというもの。
・上昇トレンド=先行スパン1>先行スパン2
かつ、遅行スパン>レート
・下降トレンド=先行スパン2>先行スパン1
かつ、レート>遅行スパン
※遅行スパンに関しては、用い方を柔軟に変更してもOK。
例えば、遅行スパンが反転したら利益確定など。
この方法、僕は好きですし、とても相性がいい。
トレンドを図る指標で一番キライなのが、
相場の転換が頻繁に行われること(つまりダマシ)。
ですが、この方法はそれが非常に少ない。
トレンドが確定すると、それが長続きしやすいのです。
また、雲もレートの近くにあり、下値支持、
上値抵抗としてもこちらの方が有効に効いていると思います。
1時間足より短い足、特に5分足で用いると良く機能するのでお勧めです。
PS.
マーフィーさんの教材はSpanModelだけじゃなく、
スーパーボリンジャーという手法についても解説されています。
僕が遅行スパンの実力に気づいて、
自分のトレードに取り入れるようになったのはこの教材がきっかけでした。
おかげでさまで、何百万損失を回避できたことか。
(もし勉強してなかったらと考えると、本当に恐ろしい・・・)
この教材についてはよく質問されるので、レビューとして別記事でまとめてみようと思います。