これは使えん。。移動平均線の角度で色が変わるインジは信用できない

こんにちは。佐々川です。

今日のテーマはみんな大好きな移動平均線(MA)の角度。
移動平均線とダウ理論をトレンド判定の要にしている僕にとっても、
MAの角度は興味あるというか、避けて通れないテーマ。

例えば、
・MAの角度が±20度未満の場合→レンジ相場
・MAの角度が20度以上、40度未満の場合→上昇トレンド相場
・MAの角度が40度以上の場合→強い上昇トレンド相場
などと、移動平均線の角度を根拠にトレンド判定をする手法も沢山あります。

 

移動平均線の角度を色分して表示するインジも
有料、無料問わず数多く出回っていますし、
比較検証するサイトも多数存在します。

 

僕も移動平均線の角度に注目し、
鉄板の手法を探そうと躍起になって、
出回っている全てのインジを検証した事があります。
※確か、全部買ったので5万くらいはかかったし、2週間かけて徹底的に検証しました。

その結果、
既存の角度インジは有料、無料問わず全て使えない
という結論に達しました。

 



見た目の角度は信用できない

今となってはお笑いのような話ですが、

僕が一番最初に移動平均線の角度の重要性を学んだ時、
パソコンのチャート画面に分度器を当てて
必死に角度を測っていました。
「30度になった、勢いがついてきたぁ」

なんて本気で考えていましたが、
程なくして、自分のアホさ加減に気づきました。

▼図1

▼図2

上の図1、図2は全く同じ通貨ペア、時間足、時刻にチャートです。
違いは、縦横の画面比だけ変更しているだけですが、
全く同じポイントの見た目の角度は
図1→30度
図2→5度
と大きく異なります。

図2はやや強引に縦を短くしていますが、
チャート画面株にサブウィンドウを3つくらい表示させたら
似たようなサイズになることもありますよね。

見た目の角度なんてチャートの縦横比で
いかようにもなってしまうのです。
つまり、
見た目の角度など一切信用ならない。

 

インジの角度も信用できない

見た目の角度はあてにならない事を理解した僕は
今度はチャートツール、MT4のインジケーターで
角度を自動計算することにしました。

この方法は一見うまくいくと思いましたが、
致命的な欠陥がありました。

▼図3 角度はデータウィンドウのMA_Angleを確認

 

▼図4 角度はデータウィンドウのMA_Angleを確認

 

上の図3,図4は同じ通貨ペアですが、時間足を変えています。
チャートの縦横比は同じで、赤丸のポイントでMAの角度は
見た目上ほぼ同じに見えると思いますが、MAの角度インジが計算した数値は
5分足→18度
日足→78度
と大きく異なるのです。

FXのチャートは見た目で時間足を区別する事が出来ない
フラクタル構造なので、マルチタイムフレーム分析をどの時間足でも一様に行う事が出来ます。

※フラクタル構造とは、どんなに小さな一部分をとっても、
それが全体と同じ形をあらわしている構造。
チャートだけを見ても、5分足と日足は同じような形になり、
両者をチャートの形から区別する事は通常出来ません。

しかし角度を計測するインジの数値は、
短い時間足では小さくなりやすく、
長い時間足では大きくなりやすい、
といった特徴があり、
フラクタル構造になっているチャートに対応出来ていないのです。

一つの時間足しか見ない場合は、
相対的に角度の数値をみれば何とか使えますが、
マルチタイムフレーム分析では全く使いものになりません。

つまり、
角度インジが示す数値など信用ならない。

 

MAの角度インジは何を計算している?

誤解されている人が物凄く多いのですが、
角度インジが計測しているのは、厳密な角度ではありません。

見た目の角度は縦横比で簡単に変化するので、
そもそも角度を計測する事など不可能です。

MAの角度インジは全て、
ローソク足◯◯本で、△△Pips上昇した時が45度である
そんな具合に基準を決め、後は比例計算で各ポイントの角度(もどき)を計算している。

※◯◯の部分はどの時間足でも同じです。
しかし、短い時間足では△△が小さくなりやすいので、角度も小さくなりやすい。
同様に、長い時間足では△△が大きくなりやすいので、角度も大きくなりやすい。

計測出来ない角度を計算する為には何らかの決めつけ、
基準がどうしても必要で、角度インジがしているのは
基準値に対する単なる比例計算でしかないのです。

 

移動平均線の角度はなぜ広まった

これほどあてにならないMAの角度ですが、
普及率、知名度はとても高い。
なぜこれほど有名になったのか?
広まった理由は2つあると考えています。

1つ目は、レンジ相場を判定する為。
移動平均線が明らかな上昇をしている場合は
角度なんかを持ち出さなくても人間ならひと目でわかる。

しかし、
ダラダラと横ばいに遷移している移動平均線があった場合、

どこまでがトレンド相場で、
どこからレンジ相場かを明確に判断する事は難しく、

トレンドの終着点や、レンジ相場を判定する為に、
何らかの指標を用い定量化する必要があったのだと思います。

 

2つ目は、EA開発の為。
人間の目は上昇しているか、下降しているかをひと目で判断できます。
3歳くらいの子供でも、
「このニョロニョロした線、上がっている?それとも下がっている?」
なんて聞けば正しく判断できます。

明確なロジックなど必要なく、人間は感覚的に理解し、判断できる。

しかし、コンピューターには人間のような判断は不可能で、
EAなどのプログラムでMAの上昇、下降を判定する為には
何らかの指標を用いて定量化する必要がある。
その時最も導入しやすかった指標が角度だったのだと思います。

上昇してる場合は角度が正、
下降している場合は角度が負。

角度を用いれば、こんな超絶単純なロジックで
移動平均線の上昇と下降を表現できるのです。
(実際のロジックはもう少し複雑ですが、要点はそんなもの)

 



トレンド分析における、MAの角度

そもそも僕らはMAの角度が知りたいのではなく、
トレンド分析の道具として角度を知ろうとしています。

トレンド分析において
MAの角度がどういう役割を担っているのか
という視点で再度、角度について考え直して下さい。

先入観を排除しシンプルに考えてみることをオススメします。


トレンドの開始、
勢いのあるトレンド、
トレンド継続、
トレンドの勢いが弱まる、
トレンドの終着、

そのようなトレンドの状況を、刻一刻と
変化するチャート上でリアルタイムに判定できれば
それに合わせた戦術・手法で的確な対応が可能になります。

トレンドというのは、『方向』と『勢い』の2つが
重要だとお話しました。

参考記事

【FX最重要スキル】トレンド分析で『方向』と『勢い』を見極める

 

まず、トレンドの『方向』に関しては、
(無理やり定量化した)角度との相性は悪くない。

数値自体は時間軸によってバラバラで、使いものにはならなくても、
角度がプラスなら上昇、
角度がマイナスなら下降、
程度の判断は既存の角度ツールでもなんとか対応可能だし、
絶対評価は不可能でも、相対的に角度を評価する事は可能です。

 

次にトレンドの『勢い』を考えます。
移動平均線の角度が急=勢いがある
という考え方が一般的に知られています。

この考えは間違いとは言えませんが、
根拠が曖昧だと思います。
トレンドの勢いとは、
投資家の心理が伴っている状態であり、
それはMAの緩急などでは表現しきれないのです。

 

既存の角度インジでは、『方向』も『勢い』も
無理やり定量化した角度で表現しようとしていますが、

『方向』はなんとか角度で表現できても、
(マルチタイムフレーム分析には不向き)

『勢い』に関しては角度では対応出来ていないのです。

これは、角度という指標が悪いのではなく
角度に無理な要求をし過ぎているだけなのだと思います。

 

 

もうそろそろMAの角度信仰から卒業し、
正しい移動平均線の分析を行うべきだと思います。

そのような正しい分析を可能にする
手法、ツール、インジを世界中から
探してみましたが、結果見つけられませんでした。

おそらく世界中のどこにも存在していないのだと思います。
(ひょっとしたら、僕が探しきれていないだけというオチかもしれませんが、見つけられなければ無いのと同じです)

 

「それならば、存在していないなら、
自分で作ればいいじゃん!!」

当時バリバリのシステムエンジニアだった僕は自然とそんな発想をし、
移動平均線を使い倒す為の独自インジを作成する事にしたのです。

そんなのりで作成したのが、
全く新しいロジックの移動平均線の分析インジである
MA_Ratio_Viewerです。

MA_Ratio_Viewerについてはまた別記事で詳細にご紹介します。

それでは、今日はこのへんで。

 

 

 

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