チャートの高値と安値に注目セヨ!ダウ理論でトレンドを分析する手法
どうも、佐々川です。
今回のテーマはダウ理論。
19世紀後半にアメリカ人ジャーナリスト、
チャールズ・ダウ氏が提唱しました。
かなり古いチャート分析手法ですが、
今でも現役バリバリ、FXにも十二分に通用します。
チャート分析をするうえでの基本となる理論で、
魑魅魍魎がうごめく相場の世界で戦い抜くには、
絶対に欠かせない必須知識だと思って頂いて問題ありません。
どれくらい必須か?
孫悟空にとっての亀仙流の道着、
緋村剣心にとっての「おろ」、
桜木花道にとっての赤頭・・・
とにかくもう、必須なのであります。
※ドンピシャで、ジャンプ黄金世代。
「ジャンプ読まねえヤツは男じゃねえ!」
もくじ
ダウ理論の6原則
ダウ理論を
「高値と安値に注目すればいいんでしょ?」
そんな風にだけ捉えている人が多い。
間違ってはいませんが、それだけでは
不十分で実は6つの基本原則から成り立っています。
この機会にしっかり確認して下さい。
平均は全ての事象を織り込む
僕がファンダメンタル分析をほとんどしないのはこの原則の存在が大きい。
ファンダメンタル的な事象は全て
チャートに織り込まれるのでテクニカル分析だけで問題ない。
やや乱暴な言い方ですが、
ファンダメンタル分析をしている暇があるなら、
テクニカル分析だけに全力を注ぐべき。
チャートは全て織り込み済みなのですから。
『なぜテクニカル分析をするのか? なぜファンダメンタル分析は必要ないのか?』
も参考に♪
トレンドは3種類ある
まずは、教科書的な知識から。
・主要トレンド(長期トレンド)
日足や週足で発生するトレンド、1年~数年周期のサイクル
・2次トレンド(中期トレンド)
1時間足や4時間足で発生するトレンド、3週間~3ヶ月周期のサイクル
・小トレンド(短期トレンド)
5分足や15分足で発生するトレンドで、 3週未満のサイクル
3種類の波と書きましたが、”3”という数字はさほど重要ではなく、4でも5でも構いません。
トレンドというのはそれぞれの時間足(時間軸)毎に存在する、
ここで言いたいのはこれだけ。
5分足で発生した上昇トレンドはそのまま消える事も
ありますが、勢いが強い場合は15分足、1時間足と徐々に上位の足に派生していきます。
下位足の小さな波が重なって、上位足の大きな波を作るのです。
この原則から何を学べばいいのか?
実際のトレードで何に気をつけるべきか?
どの時間足でトレードするにしても、
短期、中期、長期のトレンドはしっかりと認識すべきで、つまり
マルチタイムフレームの分析は大事なのです。
5分足でトレードする場合、
15分足(中期)、1時間足(長期)のトレンドを
しっかりと確認すると格段に勝率が上がるようになります。
※徹底する人は、上位足のトレンドを4つ、5つと
確認する人もいますが、時間がかかり過ぎたり、
トレードチャンスも少なくなってしまいます。
最低でも上位足1つは確認し、出来れば2つ、念入りにする場合は3つくらいの感覚で良いと思います。
トレンドは3段階ある
『強気相場は悲観の中で生まれ、
懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し、
幸福感の中で消えてゆく』
有名な相場の格言で、ダウ理論が
述べているトレンドの3段階を見事に言い表しています。
▼下図の上昇トレンドを例に説明します
・第1段階(悲観の中で生まれ)
下落から反転上昇に転じる第1段階。
「まだ下がる?戻り売りか?」
「それともトレンドが転換の局面か?」
ここでのロングエントリーはかなり勇気がいるので、じっくと腰を据えて”待ち”でいいと思います。
※僕も通常は手出しはしません。ですが、
上位足を2本程確認し、強い上昇トレンドを形成している場合は参戦する事も。。
・第2段階(懐疑の中で育ち、楽観と共に成熟し)
多くの人が安心してロングエントリーしてくるポイント。
保有して利益を伸ばしてもいいし、
細かく利確しながらの再エントリーを繰り返してもOK。
枚数を増やしたり強きで攻める場面です。
トレンドフォロー派にとっては、
この第2段階を如何にして人より早く、
そして的確にキャッチするかが最大の仕事。
『頭と尻尾はくれてやれ』
トレンドフォロー派の金看板のような格言で、
これはつまり、
トレンドの第1段階(頭)と第2段階(尻尾)は無視し、
第2段階(胴体)だけを徹底して狙うべきで、それだけで十分利益は得られるのです。
・第3段階(幸福感の中で消えてゆく)
この第3段階が勝ちトレーダーと、負けトレーダーの分かれ道。
勝ちトレーダーはいち早く保有ポジションの解消を行います。
このまま伸びる可能性はゼロではないけど、トレンドの勢いがないと判断したらさっさと逃げるのです。
もしくは、反転を狙いリスク覚悟でショートエントリーをしたりします。
(僕は絶対にしませんが、逆張り派の人が好きな戦略)
しかし、負けトレーダーはこの局面でロングエントリーをします。
スイングトレードなどではこの段階になると、メディアが高騰を煽ってきます。
このまま上昇し続けるのでは?的な
雰囲気が相場からひしひしと伝わってきますが、そうなってからでは遅すぎる。
大衆が
「まだまだ上がるぞぉ~ 買いだぁ~」
なんて騒ぎだしたら、もう黄色信号どころか赤信号だと思うべき。
『人の行く裏に道あり花の山』
なのです。
ダウ理論によれば、このようにトレンドには3つの段階があります。
もちろん相場の事なので、必ずしもこのようになるわけではありません。
しかし、
現在はどの局面か?
今後どのように動く可能性が高いのか?
そんな事を
意識して相場に望んでいる人と、
全く意識していない人では結果に大きな差が出て当然なのです。
平均は相互に確認されなければならない
AとBが相関関係の(お互いに関係がある)場合、
AとBの両方ともトレンド状態だというシグナルが出て初めて、本物のトレンドになるのです。
A単独、B単独で判断しては駄目なのです。
ダウは工業平均と鉄道平均について言及し
(工業と鉄道はお互い密接に関連します)、
両者が同じシグナルを示さない限り、本格的なトレンド発生ではないと言っています。
FXで相関関係にあるものというと・・・
・NYダウとの関係
・各国の政策金利との関係
・日経平均との関連
・原油価格との関連
・金(ゴールド)価格との関連
・他の通貨ペアとの関連性
などが該当します。
スイングトレードの場合は、これらの関連性を考慮してトレードすべきです。
しかし、デイトレやスキャルピングの場合は、それほど大きな影響を与える事はまずありません。
(デイトレ主流の僕は、これらの関連性は全く考慮していません)
トレンドは出来高でも確認されなければならない
株の取引では出来高は非常に重要です。
僕も大学時代はランキングと出来高のみを確認して勢いに乗るデイトレが得意手法でした。
(正直にいうと、これしか出来なかった・・しかし、これだけで十分勝てた!)
本物のトレンドというのは出来高の上昇を伴います。
上昇トレンドの場合、
価格が上昇するにつれて出来高も増加し、
価格が下落するときには出来高も減少するのです。
しかし、FXでは肝心の出来高を確認する事が出来ない為、一般的にはこの原則は無視されています。
見逃さないで下さい、あくまで”一般的には”です。
一般的な手法ではありませんが、
出来高はわからなくても、それに代わる方法が実はあるのです。
これに関しては長くなるので、別記事で解説する予定です。
トレンド転換は明確なサインがでるまで継続する
ダウ理論といえば、これ!
一番有名だし、最重要の原則です。
高値、安値を切り上げていれば上昇トレンド、
高値、安値を切り下げていれば下降トレンドで、
逆のパターンになるまでは
(明確なサインがでるまでは)トレンドは継続します。
説明の為に少々分かりやすいチャートを
選んでいますが、それでも
ダウ理論お見事!と頷きたくなります。
ダマシ波動に騙されるな!!
ダウ理論でのトレンドの捉え方にはちょっとしたコツがあります。
これを知らない、使えないとダマシ波動に
まんまとひっかかり損切りを連発する事になるのでしっかり理解して下さい。
一見すると、紫の部分は
高値、安値を切り下げているので下降トレンドと
判断したくなりますが、これは誤り。
結論からいうと、
この部分はダマシの下降波動で、無視しないと駄目。
つまり、上昇トレンド継続です。
このチャートでは、直近の上昇波動
(右上方向に引いた緑のライン)が基準となる上昇波動となります。
ダウ理論で肝となる、高値の上抜き、
安値の下抜きは、直近の基準となる波動の高値、安値の更新がポイント。
この場合は、紫の波動は、緑の高値と安値の
範囲内でいったりきたりしているだけなので、無視すべきなのです。
波を書くのが苦手な人の対処法
「上手く波が描けない」
「なぜそんな波が書けるの?」
ダウ理論を人に教えると必ず言われる言葉です。
(妻にも言われました)
ダウ理論を使ってチャート分析するには、
高値と安値を直線で結んで波を描きますが、
波の書き方にはこれという正解も、明確な基準もありません。
10人いれば、10通りの波が描けてしまうのです。
「高値と安値を根拠にしているのに、
その高値と安値をどのように決めるかが明確でないなら、それを元にしているトレンドも明確でないのでは?」
気持ちはよくわかります。自分も同じ悩みを持っていました。
この不安に対する明確な解決策は残念ながらありません。
多くの人が意識するであろう高値と安値を見つけ、
多くの人が引きそうな、納得しそうな波を書けるように訓練するしかありません。
しかし、それだけ言って突き放すのでは
あまりにも無責任なので、1つだけ便利な方法を紹介すると、
インジケーターに頼るという方法はありかもしれません。
例えば、MT4に標準で搭載されている
ZigZagは、一定期間の高値と安値を判断して自動で波を描いてくれます。
また、3_Level_ZZ_Semaforもなかなか使えます。
最終的には、多くの人が意識するであろう高値と安値を自分で見つけ、分析に必要な波を書けるようになるべきです。
その方が圧倒的に精度が高いし、自分が見つけだしたトレンドに自信が持てるようになります。
しかし、習得するには時間がかかります。
出来るようになるまでは、ZigZagや3_Level_ZZ_Semaforなどを参考にしてみるのも大いにありだと思います。
※ここで紹介した2つのインジケーターは、リペイントと言って確定したはずのラインやシグナルをどんどん書き変えます。
「リペイントするインジなんてクソだ」
そんな風に毛嫌いしている人もいますが、僕個人としてはリペイントするインジケーターも使い方によっては便利だと思っています。
リペイントについては、自分なりの思いも強いので、別記事にまとめてみようと思います。
ダウ理論との正しい付き合い方~心構え編~
子供が出来る前は、頻繁に秋葉原、
新宿、渋谷に出向いては投資関係のセミナーに出まくっていました。
その頃出会った人の中に面白いトレーダーいます。
彼はFXの専業デイトレーダーで、13インチ程の
ノートパソコンでセミナー中にもトレードを行っていました。
(平日行われたセミナーだったので、市場は開いています)
休憩時間に話しかけチャート画面を
見せてもらうと、2本の移動平均線
のみ表示させて、他のインジケーターは一切ない。
「移動平均線だけで勝てるんですか?」
「移動平均線はエントリー判断に使っている
だけで、基本的には高値と安値しかみていないよ」
うざがられながらも、空気をあまりよまずに話しを聞くと、
彼の手法はダウ理論でトレンド分析をし、
グランヒルの法則でエントリー、
トレンドが転換しそうになると即イクジット、
たったこれだけの事を淡々と繰り返しているだけでした。
ダウ理論は知っているだけで自分のトレードには
一切用いていなかった僕にはちょっと衝撃的でした。
「ダウとグランヒルだけで勝ち続けている人がいるなんて。。。」
波が一様に決まらない事をダウ理論の弱点だとし、
弱点=使えない
手法と認識していたのです。
それから、数年。
トレーダーとして経験を積み、
レベルアップするにつれ、
ダウ理論はトレンド分析だけでなく、
テクニカル分析の柱、軸のような存在になっています。
セミナーで出会った彼のようにダウ理論だけでトレンド分析が出来る人もいます。
しかし、そのレベルに達する為には資質も時間も経験も必要です。
ダウ理論は、物凄く扱いづらいけど破壊力抜群の武器だと僕は思っています。
▼これは破壊力抜群のダイの剣
今使いこなせてないとしても構いません。
もっと扱いやすい、移動平均線やMACDを用いてトレンド分析をしたらいいのです。
トレンド分析の手法はいくらでもあります。
しかし、決してダウ理論を放棄してはいけません。
相場で沢山の経験をし、修練を詰めば
少しづつダウ理論の偉大さわかるようになります。
そして偉大さがわかるようになると、
テクニカル分析のレベルがいつの間にか上がっている自分に気づくはず。
諦めずに、コツコツとダウ理論に向き合う、そんな努力を是非継続して下さい。
PS.
100年以上も前にこんな凄い事を考えたダウさんってどんな人なんだろう
そう思い調べてみると・・・
うん、いかにも!という感じのお顔♪
それにしても、ものすんごい髭だなあ。